くまのまえファミリークリニック 病院ブログ

胃カメラ・大腸カメラができるくまのまえファミリークリニックのブログです

風疹

 風疹の流行がニュースや新聞で取り上げられており、当院でも予防接種の問い合わせが増えています。

 国立感染症研究所は今年の風疹患者さんが496人に上ったと発表しています(9月12日現在)。ほとんどが関東地方での感染ですが、平成25年度以降で最多の人数となっており、愛知県でも注意が必要です。

 

風疹は感染している人の咳、くしゃみなど飛沫感染により人から人へ移ります。14~21日(平均16~18日)の潜伏期間を経て発症し、発熱・発疹・首や後頭部、耳の後ろのリンパ節の腫れを認めます。多くは数日で治癒し、ほとんどの人が生涯免疫を獲得します。

 

 しかしながら、感染による合併症のリスクもあり、特に妊娠初期の妊婦は注意が必要です。妊婦が風疹にかかると胎児も感染し、先天性風疹症候群と呼ばれる障害が起こることがあります。頻度が高い3 大症状は先天性心疾患、難聴、白内障があります。その他にも子宮内発育遅延や網膜症、糖尿病など多岐にわたります。

f:id:kumanomae-fc:20180922083114g:plain

 風しん予防啓発ポスター 国立感染症研究所 感染症疫学センター

 

 風疹は予防接種で感染を防ぐことが可能です。女性は妊娠前に2回、予防接種を受けることが推奨されます。また、妊婦に移さないためにも周囲の方(特に30~50代の男性)も予防接種を受けることが大切です。昭和54年4月2日以前に生まれた男性は予防接種の機会がなかったため、風疹の既往がない、予防接種歴が曖昧または受けたことがない場合は早めに予防接種を受けることをお勧めします。

ワクチンの予約などは、当クリニックにお気軽にご相談ください。

胃カメラ

 

 胃カメラ(胃内視鏡検査)は、ほとんどの方が「つらい」、「苦しい」と思っているのではないでしょうか?私もはじめて検査をうけたときはそう思ったひとりでした。

 

 口からの胃カメラ(経口胃カメラ)をやる場合には、①喉へ麻酔②マウスピースをくわえる③胃カメラをいれる、の手順です。私の場合には、②の時点から嘔吐反射により目に涙(😢)。さらに追い打ちをかけるようにカメラが侵入してきて、喉から食道に入るところで反射がMAXとなり、悶絶状態。また口もふさがれており、鼻から息をするしかないのですが、パニック時には鼻から息をすることは意外に難しく、カメラを引き抜いてしまうかの勢いで自分の手がカメラをつかんでしまったこともありました↓。

 

 人間には、「異物の侵入」から体を守ろうとする防御反応が備わっています。「嘔吐反射」も防衛の1つです。胃カメラは嘔吐反射が少ないほうが、医師、患者さん共に楽に検査することができます。最近では鼻から細いカメラを入れて行う「経鼻胃カメラ」が可能となりました。嘔吐反射が少なく口からも楽に呼吸ができるため、苦痛が少なくなります。私も検査を受けましたが、以前より劇的に楽に検査を受けることができました。

 f:id:kumanomae-fc:20180915091804j:plain

 名古屋市胃がん検診ではH28年10月より胃カメラの検査も可能になっておりますので、ぜひ定期的な検査をお勧めします。

 

 万一、経鼻胃カメラでも嘔吐反射が出て、つらい思いをした方には、鎮静下(眠くなる薬を使って)での検査も行っておりますので、当クリニックにご相談ください。

肺炎球菌ワクチン

肺炎球菌のワクチンが2種類あることをご存知ですか?

日本国内ではニューモバックス(PPSV23)、プレベナー(PCV13)の2種類の接種が可能です。その中でも、ニューモバックス(PPSV23)というワクチンのみに助成があります。

しかし、プレベナーの有効性を示す臨床試験の結果を踏まえて、米国では2種類のワクチンの接種を推奨しております。2種類を接種することにより、今までより強い肺炎予防効果が期待されております。(ちなみに日本におけるお子さんの定期予防接種はプレベナーです。)

 f:id:kumanomae-fc:20180913120923j:plain

日本人に対する有効性を示す試験の結果は発表されていませんが、日本呼吸器学会・日本感染症学会も、2種類の連続接種についての考え方(接種スケジュール)を明示しております。

65歳以上に成人に対する肺炎球菌ワクチン接種に関する考え方

 

 

2017年1月25日にはNHK ガッテンで特集されました(笑)。

NHK ガッテン 知らないなんてもったいない!肺炎にならないぞSP

 

当クリニックもH30/9月より2種類の接種が可能となりましたので、接種をご希望の方はお気軽に電話または来院してください。

 

肺炎球菌に関しては下記も参照してください。

おとなの肺炎球菌感染症.jp 65歳からの予防接種

大腸カメラ

今回は当院看板検査の大腸カメラについてのお話をさせていただきます。

名古屋市の大腸がん検診は便潜血検査で行い、40歳以上を対象としています。これは、大腸がんのリスクが40歳からあがってくることを根拠としております。

一般に症状がなければ、便潜血検査で良いと思いますが、結果が陰性であってもポリープや癌が全くないというわけではないのです。逆も然りです。

進行がんがあってもその約30%は便潜血検査が陰性という報告もあります😢(偽陰性)。また、便潜血検査が陽性でも約30〜40%は、検査をしても大腸に病変を認めないという報告もあります(偽陽性)。

 よって便潜血検査は完全な検査と言うわけでなく、40歳を超えたら一度は大腸カメラを受けたほうが良いと考えます。

 

 検査を行うことにより、腸の中が正常なのか、異常があるのか評価することができ、全く異常がなければ、5年の節目ごとに検査を受けて頂くことが良いと思います。万一、ポリープを認めれば、その場で切除することが可能となります。また、ポリープを認めた方は、ポリープができやすい体質の可能性もあり、1-2年後に再検査し新たなポリープがないかをチェックすることをお勧めします。

 

下記は進行直腸がんの内視鏡画像です。

81歳男性の方で便潜血が-/+のため大腸カメラを施行したところ、直腸に進行がんを認めました。便潜血の1回目は陰性になっておりました。後日、総合病院で外科的手術行い、元気に過ごされております。

f:id:kumanomae-fc:20180911160731j:plain

 

大腸がんは、大腸ポリープからできるものだけでなく、いきなり大腸がんができることもあります。しかし、定期的な検査により大腸がんで命を落とすことは少なくなると思います。私の使命は大腸がんで命を落とす人をゼロに近づけることだと考えております。

 

検査が怖い、以前の検査で痛みが強くでたため、躊躇している方は、当クリニックにご相談してください。鎮静下での検査も実施しておりますので、検査中の怖さや痛みのない快適な検査を受けることが可能となっております。

BCG予防接種

 名古屋市では保健所にて3(4)カ月健診時に、BCG予防接種を実施してきましたが、10月1日より他の定期予防接種と同様に個別接種化となり、指定医療機関で接種することになりました。

(H31/9/30までは移行期間として、保健所または指定医療機関のどちらかで可能です。)

 

 H30/9/8(土)に、実施条件でもあるBCG研修会に参加しました。安全で衛生的な接種について再度確認することができました。

f:id:kumanomae-fc:20180910113639j:plain

 

 接種対象は1歳に至るまでの乳児で、生後5-8カ月が推奨されております。名古屋などの大都市圏は結核の中蔓延地域であり、できるだけ早期のBCG接種が必要です。

 

 3-5カ月のBCG接種の適齢期には、他の多くのワクチン接種も必要となりますので、スケジュールなど含め、ぜひ当クリニックで相談していただければと思います。当クリニックにおいても、10/1より実施予定です。

 

 後日、BCG予防接種の詳細については病院ブログにアップします。

帯状疱疹ワクチン

 先週に、帯状疱疹の患者様を診させて頂きました。当クリニックでは、頻繁にお目にかかる病気であり、 誰でも罹患する可能性のある病気です。

 

 典型的な帯状疱疹は、ぴりぴりした痛みと水ぶくれを伴う赤い発疹が、体の左右どちらかに帯状に出現します。症状が3~4週間ほど続き、強い痛みを伴うこともあります。

 多くは腕や胸、背中に皮疹が出ますが、顔や首に出ることもあります。

 小児の頃に、帯状疱疹ウイルスにより水痘(水ぼうそう)にかかり、治癒した後も体内にウイルスを持っています。そのため、ほとんどの人が帯状疱疹になる可能性があります。

 

発症率は、50歳代から急激に高くなり、80歳までに約3人に1人帯状疱疹になると言われています。

 

 体の免疫力が低下した時に発症し、加齢、疲労、ストレスなど誰にも日常的におこりえます。

 

 患者さんを苦しませるのは、帯状疱疹により神経痛が何年も残ってしまうことですが、これは経験したものしか、苦しみはわからないと思います。その姿をたくさん診てきた私としては、ぜひ帯状疱疹ワクチン接種をお勧めします。

 

 2016年5月より、厚生労働省より「50歳以上の方に対する帯状疱疹の予防」を目的としたワクチン接種が承認されております。接種による効果として、以下が挙げられます。

*発症率が5割以下になる。

*発症しても症状が軽くすむ

帯状疱疹後の神経痛の発症率が4割以下となる。

*接種後5年間の効果の持続。

 

 下記は先日診させていただいた足にできた帯状疱疹です(本人に了承を得てます)。

 f:id:kumanomae-fc:20180904173244j:plain

 

また妊婦や免疫機能が低下する病気の方や免疫抑制剤を内服・注射している方などは接種できません。 

 

 接種をご希望またはご質問あれば、ぜひ当クリニックにご相談してください。

 また費用は7000円(税込み)となります。

川崎病 –BCG接種部位の発赤-

 先日、典型的なBCG接種部位の発赤を伴い、不全型川崎病と診断された患者さんを診させてもらいました。

 

 *川崎病は1967年に川崎富作という小児科の先生が世界で初めて報告した疾患です。

 * 4才以下の乳幼児に好発し、ピークは6ヶ月から1才と報告されています。

 *アジア系の人種に多く発症すると言われています。

 *原因については、はっきり解明されていませんが、ウイルスや細菌に感染したことを

    きっかけに、免疫が過剰に反応し、全身の血管に炎症を引き起こしてしまうのではな

    いかと考えられております。

 

*主な症状

①5日間以上続く発熱

②両側眼球結膜(白目のところ)の充血(赤くなる)

③全身の発疹(不定形発疹)

④唇が赤くなったり、舌がイチゴ状に赤くなる

⑤手足の腫れ(赤くなる)

⑥首のリンパ節の腫れ(非化膿性リンパ節腫脹)

 

上記の6つの症状のうち、5つ以上がみられた場合と、4つの症状に冠動脈と呼ばれる心臓に栄養を送る血管にこぶ(瘤)ができた場合に、(定型)川崎病と診断されます。また、症状が完全にそろわないが、他の病気でないことがわかれば、「不全型川崎病」と診断されます。

 

また、その他に診断に役立つ特徴的な所見が、「BCG接種部位の発赤」です。

このBCG接種部位の発赤は、他の病気ではほとんど認めないため、この発赤が出現したら、川崎病を疑うことが可能となります。

 

今回、1歳の女の子が、3日間続く発熱とBCG接種部位の発赤を主訴に来院されました。

診させていただいた際の、BCG接種部位の発赤です(ご家族の了承あります)。

 f:id:kumanomae-fc:20180828141738j:plain

経過:

 溶連菌検査陽性でしたが、川崎病を併発している可能性もあり、診察同日に総合病院に紹介し、入院となりました。

 入院後は抗生剤で経過良好でしたが、入院4日目に目の充血と微熱があり、不全型川崎病と診断されました。アスピリン内服を開始し、その後、解熱・症状の改善あり、入院9日目に無事退院となりました。

 

 川崎病は小児科外来では比較的よく出会う疾患ですが、すぐには川崎病の診断が確定するものではなく、4歳未満で発熱が持続するときには、常に川崎病を鑑別に入れ、主要な症状や特徴的なBCG接種部位の発赤などには注意を払うことが重要となります。

 

  いつもより発熱が続くようであれば、ぜひ当クリニックに相談に来てください。

  親御さんはもちろんお子さんにも安心感を与え、迅速に診断できるように診察してお

 ります。