くまのまえファミリークリニック 病院ブログ

胃カメラ・大腸カメラができるくまのまえファミリークリニックのブログです

潰瘍性大腸炎

 今回は潰瘍性大腸炎についてお話します。

 

 潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。特徴的な症状としては、下痢・血便を伴う腹痛です。重症になると、発熱・体重減少・貧血などの全身の症状が起こります。炎症の部位は、直腸から連続的に口側に広がる性質があり、最大で直腸から結腸全体に拡がります。

 

 患者さんの人数は、日本では人口10万人あたり100人程度であり、発症年齢のピークは20歳台ですが、若年者から高齢者まで発症します。また、男女比は1:1で性別に差はありません。

 

 原因は未だに不明ですが、何らかの遺伝的因子が関与していると考えられています。

近年、世界中の研究者により特異的な遺伝子の探索が続けられていますが、現時点で遺伝に関する明確な答えは出ていません。遺伝的要因と食生活などの環境要因などが複雑に絡み合って発病するものと考えられています。

 

  診断は、症状の経過と病歴などを聴取します。血性下痢を引き起こす感染症と区別することが必要で、下痢の原因となる細菌や他の感染症を検査し、鑑別行います。その後に、大腸カメラを行い、炎症や潰瘍の形態や炎症の範囲を調べ、同時に大腸粘膜の一部を採取し、病理診断を行います。このように類似した症状を呈する他の大腸疾患と鑑別が必要なるため、大腸カメラは必須となります。

 

 下痢や腹痛が長く続くなどあれば、消化器内科専門医に相談することが重要です。また大腸カメラは必須となります。当クリニックでは苦痛の少ない大腸カメラ、また苦痛のほとんどない鎮静下の大腸カメラをしておりますので、まずは相談して頂ければと思います。

機能性ディスペプシア(FD)

 「機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)」という病気を知っているでしょうか?日本人の11-17%が罹患しているとの報告もあり、珍しい病気ではありません(機能性ディスペプシガイドライン:日本消化器病学会)。FDは「症状の原因となる器質的、全身性、代謝性疾患がないのにもかかわらず、慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」と定義されます。

 

 「胃もたれ」「胃の痛み」などの症状が長く続き、胃カメラ、腹部エコーや採血などの検査をしても、明らかな異常が見つからない場合に、機能性ディスペプシアの可能性が考えられます。しかし、検査で異常を認めないため、診断されずに専門的な治療が遅れることも多いと思われます。

 

  原因は1.胃・十二指腸運動が障害された場合、2.胃・十二指腸の知覚過敏が生じている場合、3.心理的要因(とくに不安や虐待歴)がある場合、4.胃酸が原因となる場合、5.ヘリコバクター・ピロリ感染が原因となる場合、6.遺伝的要因、7.感染性胃腸炎にかかった人、8.アルコール・喫煙・不眠などの生活習慣の乱れ、9.胃の形態などがあります。

 

 検査は胃癌、胃潰瘍・十二指腸潰瘍などの疾患を除外するために胃カメラヘリコバクターピロリ感染の検査、他の癌や疾患を除外するために血液検査や超音波検査、腹部CT検査などを行います。

 

 治療は1.胃で起こっている異常を改善する方法、2.敏感になっている状態を改善する方法があります。1.は消化管運動機能改善薬や酸分泌抑制薬が症状の改善効果が報告されています。また漢方薬を内服することで胃の動きが良くなる方もおられます。2.は脳が敏感な状態となっていることを抑えることは難しいですが、一部の抗不安薬抗うつ薬に改善効果が示されています。

 

 いずれのお薬も効果に個人差があり、服用した方の半数ぐらいにしか効果があらわれないといわれており、また症状消失後に5人に1人が数カ月の間に再発するとも報告されています。FD治療の第一歩は、FDについて詳しく理解している医師のサポートを受けることです。医師または周囲の医療スタッフに対する信頼感も治療効果をあげることになります。

 

 「胃もたれ」「胃の痛み」などの症状が長く続きお困りの方は、ぜひ当クリニックに受診して頂ければと思います。

産業医

 今回は当クリックの産業医活動についてお話します。

 

 産業医はどんなことをする医師かわかりますか?「社員が50人以上いるときに必要なお医者さん?」ぐらいの認識かと思います。

 

 産業医は嘱託産業医と専属産業医があり、産業医として行える業務に変わりはないのですが、勤務形態が違います。当クリニックは嘱託産業医として、企業様のお手伝いをしています。

 

 労働者が50人以上999人以下の場合、選任する産業医の形態は嘱託(非常勤)で可能となっています。しかし、事業場が有害業務の場合は、500名以上で専属産業医が必要となります。

 

 産業医の主な仕事は、①衛生委員会への出席、②衛星講話、③職場巡視、④健康診断結果チェック、⑤健康相談、⑥休職面談、⑦復職面談、⑧ストレスチェック実施者、⑨高ストレス者面接指導、⑩長時間労働者面接指導などです。

 

 ほとんどの嘱託産業医は、月1回の訪問でこれらの仕事を行っており、限られた時間の中で、これらの仕事に優先順位をつけて選択的に行います。 それぞれの企業様の現状や課題により、産業医に求める仕事が違います。産業医と一緒に、より健康的な職場づくりをしていくことが重要です。

 

 当クリニックでは産業医としてだけでなく、内科医として健康的問題に相談をすることも可能です。産業医が必要になりましたら、当クリニックに相談していただければと思います。

 

ヘリコバクターピロリ除菌療法

 今回はピロリ菌に対する除菌療法について説明します。

 

 ピロリ菌を薬で退治することを除菌といいます。日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関連する疾患の治療および予防のため、ピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。(過去ブログ参照→ヘリコバクターピロリ ) 

 

 保険適用で除菌療法の対象となる人は、①ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎、②胃潰瘍または

十二指腸潰瘍、③胃MALTリンパ腫(いまるとリンパしゅ)、④特発性血小板減少性紫斑病(とくは

つせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)、⑤早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃(な

いしきょうてきちりょうごい)の患者さんです。

 

 検診でピロリ菌が陽性となり、除菌を希望されて来院される方はたくさんいます。しかし、保険を適用しての除菌療法をするには、胃カメラで①ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎を確認することが条件となります。「ピロリ菌感染→慢性胃炎胃がん」となることがほとんどであり、①の間に除菌し、胃がんを予防することを目的としています。除菌治療が早いほど、胃がん予防効果が高いと証明されていますので、胃カメラを受けて、早めに除菌治療をすることをお勧めします。

 

 治療は胃薬1種類、抗生剤2種類を7日間、朝・夕と内服していただきます。初回治療(1次除

菌療法)で約90%の方が除菌できます。また、1次除菌療法で除菌できなかった方は、抗生剤を1種類変更し、2回目の治療(2次除菌療法)を行うことで、ほとんど方が除菌に成功します。

 

 まずは消化器専門医による治療、また苦痛の少ない胃カメラ、鎮静下での苦痛のない胃カメラを受けることができる当クリニックにご相談ください。

ヘリコバクターピロリ

 今回はピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)ついて説明します。

 

 ピロリ菌は、大きさが4ミクロン(4/1000mm)でらせん形をした細菌です。胃の中は胃酸(強い酸)があり、菌は住めないと思われていましたが、ピロリ菌が胃の中に存在できることが明らかになりました。その後の研究により、ピロリ菌が慢性胃炎胃潰瘍胃がんなどに深く関連することがわかりました。

 

 多くの場合、子供の頃に感染すると言われており、一度でも感染すると多くの場合、治療(除菌)しない限り胃の中に住みつづけます。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜で炎症が続きます、しかしこの時点では、ほとんどの方が自覚症状はありません。感染が長く続くと、胃粘膜の感染部位は広がっていき、最終的には胃粘膜全体に広がります。この状態をヘリコバクターピロリ感染胃炎と呼びます。

ヘリコバクターピロリ感染胃炎が胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)を引き起

こし、その一部が胃がんに進展します。

 

 胃カメラでみると、ピロリ菌に感染している方の粘膜は、持続的な胃炎のため老化現象が見られます。逆に、ピロリ菌に感染していない方は高齢であっても、若い方と同様な元気な胃粘膜を認めます。胃カメラで、ご自分の胃が若いかどうかをチェックしてみるのもいいかもしれません。

 

 当クリニックでは、開院以来、多くの方が除菌療法を受けております。「ご家族がピロリ菌感染しているから心配」「最近、胃の調子も悪く、ピロリ菌も気になります」などで多くの方が相談に来られます。まずは気軽に相談に来てください。

蓄膿症(副鼻腔炎)

 本日はお子さんの蓄膿症についてお話します。

 テーマは「こどもの副鼻腔炎に抗生剤治療は必要か?」です。鼻水が長く続き、あおばなになると蓄膿を心配される方は多いと思います。

 

 「あおばな」は鼻水の中にばい菌がたくさんいるから青色が付いていると思っている人が多いですが、実際は、鼻水が出て時間がたつと、鼻水の中に白血球が増えて青色が付いてきます。ばい菌が原因ではなく、鼻水が出だして時間が経過したからです。

 

 風邪のときに副鼻腔のレントゲンを撮影すると、頻繁に副鼻腔に影が見つかり、副鼻腔炎を起こしていることがわかります。しかし、この副鼻腔炎は一時的であり、ほとんどは治療しなくても治ります。

 

 お子さんの場合には、大人のように顔が腫れたり・痛みが出るなどの治療が必要な重症な副鼻腔炎はほとんどありません。アメリカでは抗生剤の効かない菌(耐性菌)の出現を防ぐため、膿性の鼻水(あおばな)があっても、2週間以上続かなければ、抗生剤を使った治療はしないようです。

 

 また抗生剤を少量だけ長期に投与する治療法がありますが、お子さんへの有効性もはっきりしていないことや前述した耐性菌の出現などの問題もあり、お子さんへの抗生剤投与は短期間にすることが良いと思われます。

 

 当クリニックは、正確な診断、的確な治療、わかりやすい説明を心がけております。お子さんのことで心配事があれば、気軽に受診してください。

眼脂(めやに)

 風邪のときに眼脂が出て、目薬を処方されることは良くあります。ほんとに必要なのでしょうか?本日は風邪のときに出る眼脂についてお話しします。

 

 風邪を引くと、鼻水が出ることがあります。副鼻腔炎を合併すると緑色のような鼻水になります。これらの鼻水が鼻涙管を通って、眼脂として出てくるのです。

 

 風邪のときに出る眼脂は、目で作られたものではなく、鼻から作られたものが目から出ているのです。以上より、目に原因がないので、目薬は必要でないことがわかります。

 

 まずはかかりつけ医により、眼脂の源である風邪の治療をしっかりすることが肝心です。

 

 眼脂が多いと結膜を刺激したり、眼脂に含まれている風邪の菌により結膜炎になってしまう場合もあります。結膜炎になった場合には、目薬が必要となります。

 結膜炎にならないようにこまめに拭いてあげることも重要です。

 

 お子さんのことでお困りになる場合は、当クリニックに気軽に相談してください。正確な診断、的確な治療、わかりやすい説明を心がけております。