くまのまえファミリークリニック 病院ブログ

胃カメラ・大腸カメラができるくまのまえファミリークリニックのブログです

潰瘍性大腸炎の漢方治療

今回は当院における潰瘍性大腸炎の漢方治療についてお話します。

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。潰瘍性大腸炎については、下記URLから当院のブログを参照してください。
https://kumanomae-fc.hatenablog.jp/entry/2019/06/14/112835

完全に治すことが難しく、寛解(症状が落ち着いている状態)と再燃(悪くなった状態)を繰り返すことが多い病気です。安倍元総理大臣も長年この病と闘っています。

西洋医学では、治療としてステロイド剤を使うことも多く、その副作用に悩む方は少なくありません。
当院では東洋医学の視点から、漢方を併用します。柴苓湯(サイレイトウ)をはじめ、活動期には局所の炎症を抑えるために黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)を併用。その他に人参湯(ニンジントウ)や芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)の併用と免疫異常の改善を期待して、十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)を使うことがあります。

当院では西洋医学だけでなく、東洋医学の視点からも治療を行い、副作用を軽減します。
潰瘍性大腸炎で定期通院が必要な方は、ぜひ当院へお越しください。

逆流性食道炎

食後に胸焼けしたりゲップが出る、喉に酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感じがする、喉がつかえた感じがする、咳が続くなどの症状があったら「逆流性食道炎」の可能性があります。今回は若い人にも増えつつある逆流性食道炎についてお話します。

正常な状態では、胃液で食道が傷つかないように、食道と胃の境目にある下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)が逆流を防いでいます。
逆流性食道炎は、胃の中で胃液と混ざり合った食べ物や胃液そのものが食道に逆流する病気です。胃液は強い酸性のため、食道に逆流すると、食道の粘膜を刺激して、ただれや潰瘍ができたりします。

逆流性食道炎が起こる主な原因は、加齢・食事の内容・肥満・姿勢などによって、下部食道括約筋の筋力が低下することや、胃酸が増えすぎて胃液が逆流することです。最近では若い人にも増えています。

また一時的な逆流に伴う粘膜の炎症やストレスなどによって、食道の過敏性を異常に高めてしまうこと(知覚過敏)が、逆流性食道炎の自覚症状に大きく影響しているとの報告もあります。

診断のためには、胃カメラを受けることをお薦めします。実際に食道の粘膜に傷がつき、びらんを形成しているかどうかが分かります。胃カメラによって、症状が逆流性食道炎によるものであることを確認し、重症度を考慮した治療に結びつけることができます。また、診断的治療を行うこともあります。症状から逆流性食道炎を診断し、胃酸の分泌を抑える薬を2週間ぐらい飲んでもらい、治療効果をみるという方法です。ただし、同様の症状を起こす他の病気(胃がん食道がんなど)であった場合に、診断が遅れてしまう恐れがあります。

治療は薬物療法が主体です。治療に用いられる薬は、胃酸の分泌を抑制する薬です。また胃や食道の食べ物を運ぶ動きを亢進させる薬、食道・胃の粘膜を保護する薬などを併用することで治療効果が上がることもあります。

当院では、消化器内視鏡専門医による苦痛の少ない胃カメラ検査が可能です。
https://kumanomae-fc.hatenablog.jp/entry/2018/09/15/091852

逆流性食道炎を疑う症状がある方は、ぜひ来院してください。

悪玉コレステロール

健診でコレステロールの値が高いと指摘されたことがありませんか?今回はコレステロールの中でも悪玉と呼ばれるLDLコレステロールについてお話します。

血中脂質は血液に含まれる脂肪分を指しますが、LDLコレステロール(悪玉) 、HDLコレステロール(善玉) 、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称のことです。
これらは脂肪分のため、血液に直接は溶けません。リポタンパク質と呼ばれるタンパク質と結合することで、血液に溶けて全身に運搬され、エネルギー源として使用されます。

LDL、HDLとはそれぞれ、Low Density Lipoprotein(LDL:低濃度のリポタンパク質)、High Density Lipoprotein(HDL:高濃度のリポタンパク質)の頭文字であり、前述の脂肪分を運搬するリポタンパク質のことです。また、体内のコレステロールを運搬しているリポタンパク質の違いで、含まれる脂肪の濃度や体内での脂肪運搬の機能が異なります。

LDLコレステロール(悪玉) は、本来は細胞内に取り込まれて、ホルモン産生や細胞膜の形成などの役割があります。しかし、血中に多く存在すると血管壁に沈着して蓄積されます。血管の壁では、炎症が起こり血管の内壁を傷つけて動脈硬化を起こします。これが誘因となり、心筋梗塞脳梗塞を発症しやすくなることが証明されています。

対照的にHDLコレステロール (善玉)は、組織に蓄積したコレステロールの除去や抗酸化作用、血栓予防、血管の内壁の維持、血液を固まりにくくする作用で、動脈硬化を防ぐ役割があります。

多くの方を治療した実績があります。健診でLDL(悪玉)コレステロールを指摘された方は、当院に相談していただければと思います。

大正胃腸薬K

市販薬について調べてみました。市販薬についても不定期にお話ししようと思っています。今回は大正胃腸薬Kです。

胃の調子が悪く、ドラッグストアで相談したときに薦められることがあります。
効能・効果は【胃痛,胃のもたれ,胃炎,胃部不快感,食欲不振,げっぷ,腹痛,胸やけ,はきけ,胃酸過多,腹部膨満感】です。

大正胃腸薬Kには、「安中散」と「芍薬甘草湯」の2種類の漢方が配合されています。
「安中散」は生薬として、[桂皮(ケイヒ)・延胡索(エンゴサク)・牡蛎(ボレイ)・茴香(ウイキョウ)・甘草(カンゾウ)・縮砂(シュクシャ)・良姜(リョウキョウ)]が配合され、神経性胃炎(機能性ディスペプシア)、慢性胃炎、胃腸虚弱の諸症(体力中等度以下で、腹部は力がなく、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐き気、嘔吐など)で処方されます。
https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/005.html

芍薬甘草湯」は生薬として、[甘草(カンゾウ)・ 芍薬(シャクヤク)]2種類だけで構成されているシンプルな漢方薬です。体力に関わらず使用でき、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのあるものの次の諸症(こむらがえり、筋肉のけいれん、腹痛、腰痛)に処方されます。
https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/068.html


まとめると、胃痛・胃酸過多・胃炎によく効く「安中散」に、鎮痛効果の高い「芍薬甘草湯」により、治療効果を高くしています。

胃の症状があり、すぐに医療機関に受診できない時に飲んでもらうと良いと思います。
なお、胃潰瘍胃がんなどが原因の場合、胃内視鏡や処方薬が必要になりますので、症状が持続した場合には、医療機関に受診してください。

胆嚢ポリープ

健診で胆嚢ポリープが見つかり、精密検査を勧められることがあります。

胆嚢ポリープは、胆嚢の中にできた小さく隆起した病変の総称です。症状はなく、腹部エコーで偶然見つかります。

胆嚢ポリープの多くは、コレステロールポリープという良性のものです。他には良性の過形成ポリープがありますが、腺腫などの癌の前段階のポリープや胆嚢癌も胆嚢ポリープに含まれます。

腹部エコーで胆嚢ポリープが見つかった場合、ポリープの大きさやエコー輝度(白か黒か)、形が重要になります。コレステロールポリープの特徴は、腹部エコーで高エコー(白くみえる)で桑の実状、有茎性であることです。腹部エコーで、典型的なコレステロールポリープとは異なる場合には、更なる精密検査(超音波内視鏡検査など)が勧められます。
胆嚢癌ではコレステロールポリープより低エコー(腹部エコーで黒く見える)であり、胆嚢の壁に広く接している特徴があります。またポリープの大きさが10mmを越えている場合も悪性の可能性があることから、精密検査が必要とされています。

健診で胆嚢ポリープを指摘され方は、ぜひ消化器病専門医のいる当院を受診してください。お待ちしております。

破傷風

四種混合(DPT-IPV)ワクチン(定期接種・不活化ワクチン)で予防できる病気について、不定期にお話します。今回は破傷風です。

破傷風菌は、芽胞の形で土壌や動物の糞便中に常在する細菌です。土いじりのときにできる目立たないほどの傷や釘を踏むことによる軽いケガ、交通事故などをきっかけに傷から侵入します。傷が見当たらなくても感染する場合もあります。
極少ない数の菌でも侵入して増殖すれば容易に発病します。

症状は細菌そのものからでなく、破傷風菌が作る毒素によって起こります。毒素には、神経毒(破傷風毒素、別名:テタノスパスミン)と溶血毒(テタノリジン)の2種類があります。破傷風の主症状である強直性痙攣の原因は、主に神経毒である破傷風毒素によるものと考えられています。

外傷部位に侵入した芽胞は感染部位で毒素を作りだします。作られた毒素は、傷の付近にある末梢神経に吸収されて脳や脊髄まで到達します。毒素は同部位で毒性を発揮し、筋肉がけいれんします。口が開きにくい、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の 障害などが現れます。約80%の患者さんには全身的な症状(けいれん、呼吸困難、脳炎など)がみられます。一旦発症すると死亡率は30%と高く、非常に危険な病気です。

最近の発症数は年間120人くらいです。予防接種の普及により、お子さんの発症は稀になりましたが、予防接種の効果が10年程度で減弱することもあり、予防接種を受けていないか、効果が減弱したと考えられる中高年以上の発症がほとんどです。

診断は、典型的な臨床経過(開口障害から始まる症状等)から診断されることがほとんどです。 治療は、毒素に対する抗体(抗破傷風ヒト免疫グロブリン)を投与します。しかし、病状が進行した状態では治療効果が限定的になるため、できる限り速やかに投与する必要があります。その他、発症時にはさまざまな合併症が現れるため、症状を和らげる対症療法を行います。
屋外で皮膚の傷を完全に防ぐことは困難であり、どうしても予防接種が必要になります。

当院は地域のワクチン接種専門機関になれるよう、スタッフ全員が日々努力しています。
VPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)は数多くあり、生後2ヶ月からワクチン接種が必要です。四種混合(DPT-IPV)ワクチン(定期接種・不活化ワクチン)は生後3か月から始まります。

ワクチン接種希望や相談など、当院へお気軽にご連絡下さい。

R- 1ヨーグルト

インフルエンザの予防接種が始まっています。今回は、インフルエンザ流行期前に、「うがい、手洗いに もう一手」のフレーズでおなじみの『明治プロビオヨーグルトR-1』についてお話します。

この商品で使用されている「1073R-1乳酸菌」いわゆる「R-1乳酸菌」が、商品名のR-1の由来になっています。

人々の健康・強さを支えたいという思いから誕生した「R-1乳酸菌」は、「強さひきだす乳酸菌」と言われています。

本当に強さを引き出してくれるのでしょうか?一番期待される効果は"免疫力UP"だと思います。meijiのホームページにはその検証結果が掲載されています。

R-1ヨーグルト摂取により、
①風邪罹患リスクの低下、NK活性増強。(ウイルスと戦うNK細胞が活性化することで免疫力UP)
https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/01/
②インフルエンザワクチンの効果を高まる可能性がある。
https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/04/
③高齢者のインフルエンザ予防につながる可能性がある。
https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/05/

今後は大規模な臨床試験エビデンス(根拠や証拠)を確立できれば、みなさんにも安心してお薦めできそうです。
余談ですが、私の息子は毎年インフルエンザに罹患してしまうのですが、昨年度はこのR-1ヨーグルトを毎日摂取した効果なのか、無事に受験を乗り切ることができました!

インフルエンザの流行期は目の前です。手指衛生やソーシャルディスタンス、マスクの着用にもう一手としてR-1ヨーグルトが広く浸透する日も遠くないかもしれませんね。今年度は私が毎日摂取してみます。来春にでも報告させていただきます。