くまのまえファミリークリニック 病院ブログ

胃カメラ・大腸カメラができるくまのまえファミリークリニックのブログです

糖尿病:SGLT2阻害薬

当院では、生活習慣病である糖尿病診療にも注力しています。今回は糖尿病治療薬であるSGLT2阻害薬についてお話させて頂きます。

SGLT2(エスジー・エル・ティー・ツー)阻害薬は、2014年から日本で使われるようになった新しい飲み薬です。余分な糖を尿と一緒に排泄することで血糖を下げ、体重も減少します。また、低血糖を起こしにくいのも特徴です。

SGLTはタンパク質の一種のことです。体内でグルコースブドウ糖)やナトリウムといった栄養分を細胞内に取り込む役割を担っています。
SGLTは多種類あり、体内のさまざまな場所に存在しています。SGLT2は、腎臓の近位尿細管という場所に限定的に存在しているのが特徴です。近位尿細管は血液中から必要なものを吸収して、不要なものを尿として排泄する働きをします。この過程において、SGLT1とSGLT2は、グルコースを栄養分として細胞内に取り込む働きをします。近位尿細管で再吸収されるグルコースのうち、90%はSGLT2、残りの10%はSGLT1の働きによるものです。よって、SGLT2の働きを阻害すると、グルコースの再吸収が減ります。その分、尿糖の排泄が増えるため高血糖が改善されるのです。

当院では最新の知見をいち早く取り入れ、糖尿病診療を行っております。健診などで糖尿病を疑われた方は当院へお越し下さい。看護師、管理栄養士も含めチーム医療でサポートさせていただきます。

2021年 新年のご挨拶

新年あけましておめでとうございます。
皆様には、幸多き新春をお迎えのこととお喜び申し上げます。

昨年は新型コロナウイルスの蔓延や豪雨災害など、私たち日本人にとって苦境の年でした。本年は延期になった東京五輪が予定されています。withコロナでの開催にはなりますが、日本人の底力で、世の中に明るいニュースを届けてほしいですね。

当院は引き続き、地域の方々に寄り添い、より良い地域医療をご提供できるよう診療を行っていきたいと思います。
皆様のご健康とご多幸をお祈りし、新年のご挨拶とさせて頂きます。

潰瘍性大腸炎の漢方治療

今回は当院における潰瘍性大腸炎の漢方治療についてお話します。

潰瘍性大腸炎は、大腸の粘膜(最も内側の層)にびらんや潰瘍ができる大腸の炎症性疾患です。潰瘍性大腸炎については、下記URLから当院のブログを参照してください。
https://kumanomae-fc.hatenablog.jp/entry/2019/06/14/112835

完全に治すことが難しく、寛解(症状が落ち着いている状態)と再燃(悪くなった状態)を繰り返すことが多い病気です。安倍元総理大臣も長年この病と闘っています。

西洋医学では、治療としてステロイド剤を使うことも多く、その副作用に悩む方は少なくありません。
当院では東洋医学の視点から、漢方を併用します。柴苓湯(サイレイトウ)をはじめ、活動期には局所の炎症を抑えるために黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)を併用。その他に人参湯(ニンジントウ)や芎帰膠艾湯(キュウキキョウガイトウ)の併用と免疫異常の改善を期待して、十全大補湯(ジュウゼンタイホトウ)を使うことがあります。

当院では西洋医学だけでなく、東洋医学の視点からも治療を行い、副作用を軽減します。
潰瘍性大腸炎で定期通院が必要な方は、ぜひ当院へお越しください。

逆流性食道炎

食後に胸焼けしたりゲップが出る、喉に酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感じがする、喉がつかえた感じがする、咳が続くなどの症状があったら「逆流性食道炎」の可能性があります。今回は若い人にも増えつつある逆流性食道炎についてお話します。

正常な状態では、胃液で食道が傷つかないように、食道と胃の境目にある下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)が逆流を防いでいます。
逆流性食道炎は、胃の中で胃液と混ざり合った食べ物や胃液そのものが食道に逆流する病気です。胃液は強い酸性のため、食道に逆流すると、食道の粘膜を刺激して、ただれや潰瘍ができたりします。

逆流性食道炎が起こる主な原因は、加齢・食事の内容・肥満・姿勢などによって、下部食道括約筋の筋力が低下することや、胃酸が増えすぎて胃液が逆流することです。最近では若い人にも増えています。

また一時的な逆流に伴う粘膜の炎症やストレスなどによって、食道の過敏性を異常に高めてしまうこと(知覚過敏)が、逆流性食道炎の自覚症状に大きく影響しているとの報告もあります。

診断のためには、胃カメラを受けることをお薦めします。実際に食道の粘膜に傷がつき、びらんを形成しているかどうかが分かります。胃カメラによって、症状が逆流性食道炎によるものであることを確認し、重症度を考慮した治療に結びつけることができます。また、診断的治療を行うこともあります。症状から逆流性食道炎を診断し、胃酸の分泌を抑える薬を2週間ぐらい飲んでもらい、治療効果をみるという方法です。ただし、同様の症状を起こす他の病気(胃がん食道がんなど)であった場合に、診断が遅れてしまう恐れがあります。

治療は薬物療法が主体です。治療に用いられる薬は、胃酸の分泌を抑制する薬です。また胃や食道の食べ物を運ぶ動きを亢進させる薬、食道・胃の粘膜を保護する薬などを併用することで治療効果が上がることもあります。

当院では、消化器内視鏡専門医による苦痛の少ない胃カメラ検査が可能です。
https://kumanomae-fc.hatenablog.jp/entry/2018/09/15/091852

逆流性食道炎を疑う症状がある方は、ぜひ来院してください。

悪玉コレステロール

健診でコレステロールの値が高いと指摘されたことがありませんか?今回はコレステロールの中でも悪玉と呼ばれるLDLコレステロールについてお話します。

血中脂質は血液に含まれる脂肪分を指しますが、LDLコレステロール(悪玉) 、HDLコレステロール(善玉) 、中性脂肪(トリグリセリド)などの総称のことです。
これらは脂肪分のため、血液に直接は溶けません。リポタンパク質と呼ばれるタンパク質と結合することで、血液に溶けて全身に運搬され、エネルギー源として使用されます。

LDL、HDLとはそれぞれ、Low Density Lipoprotein(LDL:低濃度のリポタンパク質)、High Density Lipoprotein(HDL:高濃度のリポタンパク質)の頭文字であり、前述の脂肪分を運搬するリポタンパク質のことです。また、体内のコレステロールを運搬しているリポタンパク質の違いで、含まれる脂肪の濃度や体内での脂肪運搬の機能が異なります。

LDLコレステロール(悪玉) は、本来は細胞内に取り込まれて、ホルモン産生や細胞膜の形成などの役割があります。しかし、血中に多く存在すると血管壁に沈着して蓄積されます。血管の壁では、炎症が起こり血管の内壁を傷つけて動脈硬化を起こします。これが誘因となり、心筋梗塞脳梗塞を発症しやすくなることが証明されています。

対照的にHDLコレステロール (善玉)は、組織に蓄積したコレステロールの除去や抗酸化作用、血栓予防、血管の内壁の維持、血液を固まりにくくする作用で、動脈硬化を防ぐ役割があります。

多くの方を治療した実績があります。健診でLDL(悪玉)コレステロールを指摘された方は、当院に相談していただければと思います。

大正胃腸薬K

市販薬について調べてみました。市販薬についても不定期にお話ししようと思っています。今回は大正胃腸薬Kです。

胃の調子が悪く、ドラッグストアで相談したときに薦められることがあります。
効能・効果は【胃痛,胃のもたれ,胃炎,胃部不快感,食欲不振,げっぷ,腹痛,胸やけ,はきけ,胃酸過多,腹部膨満感】です。

大正胃腸薬Kには、「安中散」と「芍薬甘草湯」の2種類の漢方が配合されています。
「安中散」は生薬として、[桂皮(ケイヒ)・延胡索(エンゴサク)・牡蛎(ボレイ)・茴香(ウイキョウ)・甘草(カンゾウ)・縮砂(シュクシャ)・良姜(リョウキョウ)]が配合され、神経性胃炎(機能性ディスペプシア)、慢性胃炎、胃腸虚弱の諸症(体力中等度以下で、腹部は力がなく、胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、吐き気、嘔吐など)で処方されます。
https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/005.html

芍薬甘草湯」は生薬として、[甘草(カンゾウ)・ 芍薬(シャクヤク)]2種類だけで構成されているシンプルな漢方薬です。体力に関わらず使用でき、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのあるものの次の諸症(こむらがえり、筋肉のけいれん、腹痛、腰痛)に処方されます。
https://www.tsumura.co.jp/kampo/list/detail/068.html


まとめると、胃痛・胃酸過多・胃炎によく効く「安中散」に、鎮痛効果の高い「芍薬甘草湯」により、治療効果を高くしています。

胃の症状があり、すぐに医療機関に受診できない時に飲んでもらうと良いと思います。
なお、胃潰瘍胃がんなどが原因の場合、胃内視鏡や処方薬が必要になりますので、症状が持続した場合には、医療機関に受診してください。

胆嚢ポリープ

健診で胆嚢ポリープが見つかり、精密検査を勧められることがあります。

胆嚢ポリープは、胆嚢の中にできた小さく隆起した病変の総称です。症状はなく、腹部エコーで偶然見つかります。

胆嚢ポリープの多くは、コレステロールポリープという良性のものです。他には良性の過形成ポリープがありますが、腺腫などの癌の前段階のポリープや胆嚢癌も胆嚢ポリープに含まれます。

腹部エコーで胆嚢ポリープが見つかった場合、ポリープの大きさやエコー輝度(白か黒か)、形が重要になります。コレステロールポリープの特徴は、腹部エコーで高エコー(白くみえる)で桑の実状、有茎性であることです。腹部エコーで、典型的なコレステロールポリープとは異なる場合には、更なる精密検査(超音波内視鏡検査など)が勧められます。
胆嚢癌ではコレステロールポリープより低エコー(腹部エコーで黒く見える)であり、胆嚢の壁に広く接している特徴があります。またポリープの大きさが10mmを越えている場合も悪性の可能性があることから、精密検査が必要とされています。

健診で胆嚢ポリープを指摘され方は、ぜひ消化器病専門医のいる当院を受診してください。お待ちしております。