くまのまえファミリークリニック 病院ブログ

胃カメラ・大腸カメラができるくまのまえファミリークリニックのブログです

胆嚢ポリープ

健診で胆嚢ポリープが見つかり、精密検査を勧められることがあります。

胆嚢ポリープは、胆嚢の中にできた小さく隆起した病変の総称です。症状はなく、腹部エコーで偶然見つかります。

胆嚢ポリープの多くは、コレステロールポリープという良性のものです。他には良性の過形成ポリープがありますが、腺腫などの癌の前段階のポリープや胆嚢癌も胆嚢ポリープに含まれます。

腹部エコーで胆嚢ポリープが見つかった場合、ポリープの大きさやエコー輝度(白か黒か)、形が重要になります。コレステロールポリープの特徴は、腹部エコーで高エコー(白くみえる)で桑の実状、有茎性であることです。腹部エコーで、典型的なコレステロールポリープとは異なる場合には、更なる精密検査(超音波内視鏡検査など)が勧められます。
胆嚢癌ではコレステロールポリープより低エコー(腹部エコーで黒く見える)であり、胆嚢の壁に広く接している特徴があります。またポリープの大きさが10mmを越えている場合も悪性の可能性があることから、精密検査が必要とされています。

健診で胆嚢ポリープを指摘され方は、ぜひ消化器病専門医のいる当院を受診してください。お待ちしております。

破傷風

四種混合(DPT-IPV)ワクチン(定期接種・不活化ワクチン)で予防できる病気について、不定期にお話します。今回は破傷風です。

破傷風菌は、芽胞の形で土壌や動物の糞便中に常在する細菌です。土いじりのときにできる目立たないほどの傷や釘を踏むことによる軽いケガ、交通事故などをきっかけに傷から侵入します。傷が見当たらなくても感染する場合もあります。
極少ない数の菌でも侵入して増殖すれば容易に発病します。

症状は細菌そのものからでなく、破傷風菌が作る毒素によって起こります。毒素には、神経毒(破傷風毒素、別名:テタノスパスミン)と溶血毒(テタノリジン)の2種類があります。破傷風の主症状である強直性痙攣の原因は、主に神経毒である破傷風毒素によるものと考えられています。

外傷部位に侵入した芽胞は感染部位で毒素を作りだします。作られた毒素は、傷の付近にある末梢神経に吸収されて脳や脊髄まで到達します。毒素は同部位で毒性を発揮し、筋肉がけいれんします。口が開きにくい、顎が疲れるといった症状に始まり、歩行や排尿・排便の 障害などが現れます。約80%の患者さんには全身的な症状(けいれん、呼吸困難、脳炎など)がみられます。一旦発症すると死亡率は30%と高く、非常に危険な病気です。

最近の発症数は年間120人くらいです。予防接種の普及により、お子さんの発症は稀になりましたが、予防接種の効果が10年程度で減弱することもあり、予防接種を受けていないか、効果が減弱したと考えられる中高年以上の発症がほとんどです。

診断は、典型的な臨床経過(開口障害から始まる症状等)から診断されることがほとんどです。 治療は、毒素に対する抗体(抗破傷風ヒト免疫グロブリン)を投与します。しかし、病状が進行した状態では治療効果が限定的になるため、できる限り速やかに投与する必要があります。その他、発症時にはさまざまな合併症が現れるため、症状を和らげる対症療法を行います。
屋外で皮膚の傷を完全に防ぐことは困難であり、どうしても予防接種が必要になります。

当院は地域のワクチン接種専門機関になれるよう、スタッフ全員が日々努力しています。
VPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)は数多くあり、生後2ヶ月からワクチン接種が必要です。四種混合(DPT-IPV)ワクチン(定期接種・不活化ワクチン)は生後3か月から始まります。

ワクチン接種希望や相談など、当院へお気軽にご連絡下さい。

R- 1ヨーグルト

インフルエンザの予防接種が始まっています。今回は、インフルエンザ流行期前に、「うがい、手洗いに もう一手」のフレーズでおなじみの『明治プロビオヨーグルトR-1』についてお話します。

この商品で使用されている「1073R-1乳酸菌」いわゆる「R-1乳酸菌」が、商品名のR-1の由来になっています。

人々の健康・強さを支えたいという思いから誕生した「R-1乳酸菌」は、「強さひきだす乳酸菌」と言われています。

本当に強さを引き出してくれるのでしょうか?一番期待される効果は"免疫力UP"だと思います。meijiのホームページにはその検証結果が掲載されています。

R-1ヨーグルト摂取により、
①風邪罹患リスクの低下、NK活性増強。(ウイルスと戦うNK細胞が活性化することで免疫力UP)
https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/01/
②インフルエンザワクチンの効果を高まる可能性がある。
https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/04/
③高齢者のインフルエンザ予防につながる可能性がある。
https://www.meiji.co.jp/smartphone/yogurtlibrary/laboratory/report/1073r1/03/05/

今後は大規模な臨床試験エビデンス(根拠や証拠)を確立できれば、みなさんにも安心してお薦めできそうです。
余談ですが、私の息子は毎年インフルエンザに罹患してしまうのですが、昨年度はこのR-1ヨーグルトを毎日摂取した効果なのか、無事に受験を乗り切ることができました!

インフルエンザの流行期は目の前です。手指衛生やソーシャルディスタンス、マスクの着用にもう一手としてR-1ヨーグルトが広く浸透する日も遠くないかもしれませんね。今年度は私が毎日摂取してみます。来春にでも報告させていただきます。

RSウイルス

今回は冬に流行して風邪症状を引き起こす、RSウイルスについてお話します。

RSウイルスは生涯において、何度も感染と発病を繰り返します。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するようです。毎年9月頃から流行し、年末頃をピークに初春まで続きます。近年では夏季から流行する傾向にあります。非常に感染力が強いため、幼稚園や保育園内での集団感染に注意が必要です。

咳や鼻水を浴びたり(飛沫)、触ったり(接触)することで感染します。潜伏期間は4~5日間でウイルス排出に要する期間は10~14日です。

軽い風邪に似た症状で済むことが多いですが、重症化して肺炎や細気管支炎などを起こすと、入院が必要になる場合もあります。

乳児(1歳未満)は風邪症状に加え、呼吸困難(ゼーゼー、呼吸が早い、胸がペコペコ凹み呼吸する)などを起こす場合があります。特に生後3か月未満ではチアノーゼや無呼吸を起こし、重症化する可能性があります。また、心臓や肺に疾患があったり、早産や小さく生まれたお子さんも重症化する恐れがあります。乳幼児の肺炎の50%はRSウイルスによるものであり、細気管支炎に至ってはその原因の50~90%がRSウイルスと言われています。私の息子も2才のときに気管支肺炎となり、年末年始に入院して病院で新年を迎えました…。

生後1~2か月など、感染を起こした場合に入院を考える必要があるお子さんには、RSウイルスの迅速診断検査を行います。RSウイルスに対する特効薬はないため、重症化のリスクが少ないと考えられるお子さんに関しては、他のウイルスによる風邪や気管支炎と同様の治療を行うのみとなります。よって積極的に診断する意義はあまりありません。

当院では、小児診療にも積極的に取り組んでおります。風邪症状が出たら早めに受診してください。

ダチョウ抗体

ダチョウ抗体という言葉を聞いたことがありますか?「ガイアの夜明け」や「ビートたけしのTVタックル」、「ザワつく金曜日」でも紹介されました。鳥のダチョウからできた抗体が、感染対策に有効である可能性があるそうです。
今回はダチョウ抗体について、お話します。

ダチョウは世界一大きな鳥類で、病気で死ぬことがほとんどありません。寿命が60年もあり、その驚異的な免疫力と回復力に着目した京都府立大学 学長の塚本康浩先生が、長い年月をかけてダチョウ抗体を開発しました。
https://www.youtube.com/watch?v=y7Y2IdI8vgw

ダチョウに無害化した抗原を投与して抗体を生成します。ダチョウの命を犠牲にすることなく、抗体を含んだ無精卵からスピーディーかつ質の良い抗体を抽出します。熱や酸性、アルカリ性どちらにも強く大量生産が可能であることから、これまで困難とされていた"日常品"への抗体の利用が可能となりました。

ダチョウ抗体は新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザやSARS、MERSをも不活性化することが実証されています。
このダチョウ抗体を配合し、ウイルスを除去・抗菌する世界初のスプレーである「Vブロックスプレー」が販売され、マスクの表裏に噴霧して使います。

冬にはインフルエンザも流行します。手指衛生やソーシャルディスタンス、マスクの着用にプラスし、感染対策として期待できそうです。

手指衛生について

コロナ禍の今、感染予防には手洗いやアルコール消毒が重要だと皆さんもご存じかと思います。今回は手指衛生についてお話をします。

新型コロナウイルスの感染は、ウイルスを含む飛沫が口、鼻や眼などの粘膜に触れること、またはウイルスがついた手指で口、鼻や眼の粘膜に触れることで起こります。このため、飛沫を吸い込まないよう人との距離を確保したり、会話時には互いにマスクを着用します。手指についたウイルスは石鹸やハンドソープで洗って流水で洗い流すこと、アルコールで消毒することが大切です。

人は日常生活において、手指を活用する場面が数多くあります。微生物にとっても伝播のための便利な媒介物となり、代表的な微生物の感染経路の手助けをしてしまうのです。

前述しましたが、手指についたウイルスへの対策は手洗いとアルコール消毒です。

①手洗いの効果
手指についているウイルスの数は、流水による15秒の手洗いのみで100分の1に、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます。手洗い後に更にアルコール消毒液を使用する必要はありません。
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サラヤハイジーンショップホームページより

②アルコール消毒の効果
手洗いがすぐにできない時はアルコール消毒液も有効です。アルコールはウイルスの膜を壊すことで無毒化します。濃度70%以上95%以下のエタノールを用いて、よくすりこみます。60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると報告があります。70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用しても差し支えありません。
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サラヤハイジーンショップホームページより

冬にはインフルエンザも流行します。手指衛生やソーシャルディスタンス、マスクの着用ををしっかり行い、感染予防しましょう。

熊の前寿クラブで特別講話をさせて頂きました

熊の前寿クラブから講師としてお招きいただき、10月17日に特別講話をしました。テーマは『コロナ禍のインフルエンザ対策』です。

参加者のみなさんが熱心に傾聴してくださり、多くの質問も頂きました。

医師として地域啓発という仕事の重要性を再認識したとともに、伝えることの難しさも感じました。もっと理解しやすく、興味深いお話をみなさんに提供したいという思いが湧きました。

このような場を設けてくださった会長の森さんをはじめ、参加していただいた皆さんに深く感謝致します。またの機会がありましたら、より良い講話ができるよう、精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願いします。
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