くまのまえファミリークリニック 病院ブログ

胃カメラ・大腸カメラができるくまのまえファミリークリニックのブログです

ヘリコバクターピロリ除菌療法

 今回はピロリ菌に対する除菌療法について説明します。

 

 ピロリ菌を薬で退治することを除菌といいます。日本ヘリコバクター学会のガイドラインでは、ピロリ菌に関連する疾患の治療および予防のため、ピロリ菌感染者のすべてに除菌療法を受けることが強く勧められています。(過去ブログ参照→ヘリコバクターピロリ ) 

 

 保険適用で除菌療法の対象となる人は、①ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎、②胃潰瘍または

十二指腸潰瘍、③胃MALTリンパ腫(いまるとリンパしゅ)、④特発性血小板減少性紫斑病(とくは

つせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう)、⑤早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃(な

いしきょうてきちりょうごい)の患者さんです。

 

 検診でピロリ菌が陽性となり、除菌を希望されて来院される方はたくさんいます。しかし、保険を適用しての除菌療法をするには、胃カメラで①ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎を確認することが条件となります。「ピロリ菌感染→慢性胃炎胃がん」となることがほとんどであり、①の間に除菌し、胃がんを予防することを目的としています。除菌治療が早いほど、胃がん予防効果が高いと証明されていますので、胃カメラを受けて、早めに除菌治療をすることをお勧めします。

 

 治療は胃薬1種類、抗生剤2種類を7日間、朝・夕と内服していただきます。初回治療(1次除

菌療法)で約90%の方が除菌できます。また、1次除菌療法で除菌できなかった方は、抗生剤を1種類変更し、2回目の治療(2次除菌療法)を行うことで、ほとんど方が除菌に成功します。

 

 まずは消化器専門医による治療、また苦痛の少ない胃カメラ、鎮静下での苦痛のない胃カメラを受けることができる当クリニックにご相談ください。

ヘリコバクターピロリ

 今回はピロリ菌(ヘリコバクターピロリ)ついて説明します。

 

 ピロリ菌は、大きさが4ミクロン(4/1000mm)でらせん形をした細菌です。胃の中は胃酸(強い酸)があり、菌は住めないと思われていましたが、ピロリ菌が胃の中に存在できることが明らかになりました。その後の研究により、ピロリ菌が慢性胃炎胃潰瘍胃がんなどに深く関連することがわかりました。

 

 多くの場合、子供の頃に感染すると言われており、一度でも感染すると多くの場合、治療(除菌)しない限り胃の中に住みつづけます。ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜で炎症が続きます、しかしこの時点では、ほとんどの方が自覚症状はありません。感染が長く続くと、胃粘膜の感染部位は広がっていき、最終的には胃粘膜全体に広がります。この状態をヘリコバクターピロリ感染胃炎と呼びます。

ヘリコバクターピロリ感染胃炎が胃・十二指腸潰瘍、萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)を引き起

こし、その一部が胃がんに進展します。

 

 胃カメラでみると、ピロリ菌に感染している方の粘膜は、持続的な胃炎のため老化現象が見られます。逆に、ピロリ菌に感染していない方は高齢であっても、若い方と同様な元気な胃粘膜を認めます。胃カメラで、ご自分の胃が若いかどうかをチェックしてみるのもいいかもしれません。

 

 当クリニックでは、開院以来、多くの方が除菌療法を受けております。「ご家族がピロリ菌感染しているから心配」「最近、胃の調子も悪く、ピロリ菌も気になります」などで多くの方が相談に来られます。まずは気軽に相談に来てください。

蓄膿症(副鼻腔炎)

 本日はお子さんの蓄膿症についてお話します。

 テーマは「こどもの副鼻腔炎に抗生剤治療は必要か?」です。鼻水が長く続き、あおばなになると蓄膿を心配される方は多いと思います。

 

 「あおばな」は鼻水の中にばい菌がたくさんいるから青色が付いていると思っている人が多いですが、実際は、鼻水が出て時間がたつと、鼻水の中に白血球が増えて青色が付いてきます。ばい菌が原因ではなく、鼻水が出だして時間が経過したからです。

 

 風邪のときに副鼻腔のレントゲンを撮影すると、頻繁に副鼻腔に影が見つかり、副鼻腔炎を起こしていることがわかります。しかし、この副鼻腔炎は一時的であり、ほとんどは治療しなくても治ります。

 

 お子さんの場合には、大人のように顔が腫れたり・痛みが出るなどの治療が必要な重症な副鼻腔炎はほとんどありません。アメリカでは抗生剤の効かない菌(耐性菌)の出現を防ぐため、膿性の鼻水(あおばな)があっても、2週間以上続かなければ、抗生剤を使った治療はしないようです。

 

 また抗生剤を少量だけ長期に投与する治療法がありますが、お子さんへの有効性もはっきりしていないことや前述した耐性菌の出現などの問題もあり、お子さんへの抗生剤投与は短期間にすることが良いと思われます。

 

 当クリニックは、正確な診断、的確な治療、わかりやすい説明を心がけております。お子さんのことで心配事があれば、気軽に受診してください。

眼脂(めやに)

 風邪のときに眼脂が出て、目薬を処方されることは良くあります。ほんとに必要なのでしょうか?本日は風邪のときに出る眼脂についてお話しします。

 

 風邪を引くと、鼻水が出ることがあります。副鼻腔炎を合併すると緑色のような鼻水になります。これらの鼻水が鼻涙管を通って、眼脂として出てくるのです。

 

 風邪のときに出る眼脂は、目で作られたものではなく、鼻から作られたものが目から出ているのです。以上より、目に原因がないので、目薬は必要でないことがわかります。

 

 まずはかかりつけ医により、眼脂の源である風邪の治療をしっかりすることが肝心です。

 

 眼脂が多いと結膜を刺激したり、眼脂に含まれている風邪の菌により結膜炎になってしまう場合もあります。結膜炎になった場合には、目薬が必要となります。

 結膜炎にならないようにこまめに拭いてあげることも重要です。

 

 お子さんのことでお困りになる場合は、当クリニックに気軽に相談してください。正確な診断、的確な治療、わかりやすい説明を心がけております。

ジョスリン糖尿病診療ラーニングプログラム

久しぶりのブログになります。

 

米国のハーバード大学にあるジョスリン糖尿病センターが開発・作成した糖尿病診療ラーニングプログラムに参加しましたので報告させていただきます。

 

H30/12/9、H31/3/17の計2日間のプログラムで、講師も藤田医科大学糖尿病内科鈴木教授先生や高橋ファミリークリニック高橋院長含め、有名な先生から直接指導して頂ける貴重なプログラムとなっており、充実した時間を過ごしてきました。

 

今回のプログラムで学んだ知識を、日常診療で患者様に還元していければと考えております。また今後も日々勉強し、最新かつ安心できる糖尿病診療をスタッフ一同続けていきます。

 

健診で糖尿病を疑われた方、すでに糖尿病と診断されたけど診療中断中の方、また最近体重が増えて心配など心配事があれば、気軽に当クリニックに受診してください。

 

↓ プログラム終了証です(*^^*)

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おねしょ(夜尿症)

今回はおねしょについてのお話です。

 

 夜間に寝ている間に無意識のうちに排尿してしまう状態をいい、5歳を過ぎても月1回以上のおねしょが3カ月以上続く場合を「夜尿症」と診断します(夜尿症診療ガイドライン2016)。

 

 年齢別の割合ですが、一般に就学直前の5-6歳で約20%、小学校低学年では約10%台、10歳を越えても約5%前後見られます。中学時代には1-3%に減りますが、まれに成人になっても継続することがあるようです。

 

 おねしょの3大要因は、①夜間多尿、②排尿筋過活動、③覚醒閾値の上昇とされ、補助的な要因として、発達の遅れ、遺伝的素因などが考えられています。また、その他に器質的疾患(臓器・組織の形態的異常にもとづいて生じている状態)が原因となっている可能性もあります。

 

 治療はI.生活指導、II 行動療法、III アラーム療法、IV 薬物治療、Vその他に分類されま

す。

 当院では、おねしょでお困りのお子さんに対して、漢方薬における治療も行っています。良く使われる漢方薬は、小建中湯桂枝加竜骨牡蛎湯柴胡桂枝湯五苓散白虎加人参湯当帰四逆加呉茱萸生姜湯などです。診察を行い、お子さんに合ったお薬を処方しております。

 

おねしょでお困りであれば、当院に相談してください。症状によっては、大学病院などの高次機能病院にご紹介させていただきます。

大腸ポリープ

今回は大腸ポリープについて説明したいと思います。大腸ポリープには、切除したほうがよいポリープと切除しなくてもよいポリープがあります。「ポリープがあったけど、取ってもらえなかった」ということを外来でよくお聞きします。今回の説明で、このようなもやもやを少しでも解消できたら幸いです。

 

大腸がん以外の頻度の多い大腸ポリープ2種類を説明します。

1) 腺腫(腺腫性ポリープ)

大きくなるまでに年単位かかることが大半ですが、放置すると大腸がんになる可能性があるポリープです。組織検査はGroup3(腺腫性ポリープ)です。

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写真1:腺腫

 

切除の適応ですが、病院によって違います。“5mm以下のポリープは切除しない”ことがあります。腺腫性ポリープがあるのに切除してもらえず、「経過を見ましょう」「2-3年後に取りましょう」などと言われたことがあると思います。

これは、腺腫性ポリープは10mmを超えるとがんが含まれる頻度が急激に高くなるというエビデンスがあり、医師としては、①大腸ポリープの表面を観察し、がんを疑う所見がない、②数年では、がんになるほど大きくはならないだろうという医学的な判断をしています。しかし、患者さんとしては、「そのままになっている」「また検査をしないといけないのか」というがっかりした気持ちや不安感を持つこともあるでしょう。

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          大腸ポリープ診療ガイドライン2014(消化器病学会)

 

患者さんにとって、次に大腸カメラをする時間や機会が誰にでもあるわけでないため、いろいろな意見はありますが、当クリニックでは早急に切除する必要なさそうな5mm以下の腺腫性ポリープでも、希望があれば、見つけた時に切除しています。

 

 2) 過形成性ポリープ

基本的に放っておいても、がんになることが非常に少ないポリープです。組織検査はGroup1(非腫瘍性ポリープ)です。

大きな過形成性ポリープはごくまれにがん化することもあります。

腺腫性ポリープとカメラで観察しても、区別が難しいときがときどきあります。f:id:kumanomae-fc:20190111124752j:plain

 写真2:過形成性ポリープ(NBIシステム)

 

当クリニックでは、基幹病院にて、多くの大腸カメラや大腸ポリープ切除を経験した消化器内視鏡専門医の私が検査を行います。他院で5mm以下の腺腫性ポリープが見つかり、経過観察をされている方で切除希望の方、検査に不安を感じている方で鎮静下での苦痛の少ない検査をご希望の方はぜひ当クリニックに気軽に相談にきてください。

(大腸カメラに関してはブログ参照してください。→くまのまえファミリークリニックブログ 大腸カメラ )