くまのまえファミリークリニック 病院ブログ

胃カメラ・大腸カメラができるくまのまえファミリークリニックのブログです

RSウイルス

今回は冬に流行して風邪症状を引き起こす、RSウイルスについてお話します。

RSウイルスは生涯において、何度も感染と発病を繰り返します。生後1歳までに半数以上が、2歳までにほぼ100%の乳幼児が感染するようです。毎年9月頃から流行し、年末頃をピークに初春まで続きます。近年では夏季から流行する傾向にあります。非常に感染力が強いため、幼稚園や保育園内での集団感染に注意が必要です。

咳や鼻水を浴びたり(飛沫)、触ったり(接触)することで感染します。潜伏期間は4~5日間でウイルス排出に要する期間は10~14日です。

軽い風邪に似た症状で済むことが多いですが、重症化して肺炎や細気管支炎などを起こすと、入院が必要になる場合もあります。

乳児(1歳未満)は風邪症状に加え、呼吸困難(ゼーゼー、呼吸が早い、胸がペコペコ凹み呼吸する)などを起こす場合があります。特に生後3か月未満ではチアノーゼや無呼吸を起こし、重症化する可能性があります。また、心臓や肺に疾患があったり、早産や小さく生まれたお子さんも重症化する恐れがあります。乳幼児の肺炎の50%はRSウイルスによるものであり、細気管支炎に至ってはその原因の50~90%がRSウイルスと言われています。私の息子も2才のときに気管支肺炎となり、年末年始に入院して病院で新年を迎えました…。

生後1~2か月など、感染を起こした場合に入院を考える必要があるお子さんには、RSウイルスの迅速診断検査を行います。RSウイルスに対する特効薬はないため、重症化のリスクが少ないと考えられるお子さんに関しては、他のウイルスによる風邪や気管支炎と同様の治療を行うのみとなります。よって積極的に診断する意義はあまりありません。

当院では、小児診療にも積極的に取り組んでおります。風邪症状が出たら早めに受診してください。

ダチョウ抗体

ダチョウ抗体という言葉を聞いたことがありますか?「ガイアの夜明け」や「ビートたけしのTVタックル」、「ザワつく金曜日」でも紹介されました。鳥のダチョウからできた抗体が、感染対策に有効である可能性があるそうです。
今回はダチョウ抗体について、お話します。

ダチョウは世界一大きな鳥類で、病気で死ぬことがほとんどありません。寿命が60年もあり、その驚異的な免疫力と回復力に着目した京都府立大学 学長の塚本康浩先生が、長い年月をかけてダチョウ抗体を開発しました。
https://www.youtube.com/watch?v=y7Y2IdI8vgw

ダチョウに無害化した抗原を投与して抗体を生成します。ダチョウの命を犠牲にすることなく、抗体を含んだ無精卵からスピーディーかつ質の良い抗体を抽出します。熱や酸性、アルカリ性どちらにも強く大量生産が可能であることから、これまで困難とされていた"日常品"への抗体の利用が可能となりました。

ダチョウ抗体は新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザやSARS、MERSをも不活性化することが実証されています。
このダチョウ抗体を配合し、ウイルスを除去・抗菌する世界初のスプレーである「Vブロックスプレー」が販売され、マスクの表裏に噴霧して使います。

冬にはインフルエンザも流行します。手指衛生やソーシャルディスタンス、マスクの着用にプラスし、感染対策として期待できそうです。

手指衛生について

コロナ禍の今、感染予防には手洗いやアルコール消毒が重要だと皆さんもご存じかと思います。今回は手指衛生についてお話をします。

新型コロナウイルスの感染は、ウイルスを含む飛沫が口、鼻や眼などの粘膜に触れること、またはウイルスがついた手指で口、鼻や眼の粘膜に触れることで起こります。このため、飛沫を吸い込まないよう人との距離を確保したり、会話時には互いにマスクを着用します。手指についたウイルスは石鹸やハンドソープで洗って流水で洗い流すこと、アルコールで消毒することが大切です。

人は日常生活において、手指を活用する場面が数多くあります。微生物にとっても伝播のための便利な媒介物となり、代表的な微生物の感染経路の手助けをしてしまうのです。

前述しましたが、手指についたウイルスへの対策は手洗いとアルコール消毒です。

①手洗いの効果
手指についているウイルスの数は、流水による15秒の手洗いのみで100分の1に、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いし、流水で15秒すすぐと1万分の1に減らせます。手洗い後に更にアルコール消毒液を使用する必要はありません。
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サラヤハイジーンショップホームページより

②アルコール消毒の効果
手洗いがすぐにできない時はアルコール消毒液も有効です。アルコールはウイルスの膜を壊すことで無毒化します。濃度70%以上95%以下のエタノールを用いて、よくすりこみます。60%台のエタノールによる消毒でも一定の有効性があると報告があります。70%以上のエタノールが入手困難な場合には、60%台のエタノールを使用しても差し支えありません。
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サラヤハイジーンショップホームページより

冬にはインフルエンザも流行します。手指衛生やソーシャルディスタンス、マスクの着用ををしっかり行い、感染予防しましょう。

熊の前寿クラブで特別講話をさせて頂きました

熊の前寿クラブから講師としてお招きいただき、10月17日に特別講話をしました。テーマは『コロナ禍のインフルエンザ対策』です。

参加者のみなさんが熱心に傾聴してくださり、多くの質問も頂きました。

医師として地域啓発という仕事の重要性を再認識したとともに、伝えることの難しさも感じました。もっと理解しやすく、興味深いお話をみなさんに提供したいという思いが湧きました。

このような場を設けてくださった会長の森さんをはじめ、参加していただいた皆さんに深く感謝致します。またの機会がありましたら、より良い講話ができるよう、精一杯務めさせていただきますので、よろしくお願いします。
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チメロサールフリー

チメロサールフリーという言葉を聞いたことがありますか?今回はインフルエンザワクチンの中で、チメロサールフリーのワクチンについてお話します。

チメロサールはエチル水銀と呼ばれる有機水銀を含み、殺菌作用のある防腐剤のことです。複数回接種用のワクチンバイアル等で、古くから使われています。

1990年代に、エチル水銀の蓄積と自閉症との関連が議論されましたが、今は完全に否定されています。 また、現時点までアレルギーの報告もないため、予測できない副作用を懸念して使用を控えるよりも、使用するメリットの方が多いと言われています。アメリカ小児科学会やWHOはワクチンへのチメロサールの含有を容認しています。しかし、極微量とはいえ有機水銀を医薬品の中に添加するのは好ましくないという考えもあり、チメロサールを添加しないワクチンや減量したワクチンが増えています。近年ではチメロサールをワクチンの保存剤として添加しない方向にあります。また、欧米諸国では、チメロサールフリーのワクチン接種が行われています。日本で使用されている一般のインフルエンザワクチンは、少量ですがチメロサールが含まれています。

当院ではチメロサールフリーのワクチンも接種することができます。価格は上がりますが、希望される方は早めに予約してください。

異なるワクチン間の接種間隔が撤廃されます

従来は異なるワクチンを接種する場合、接種してから次のワクチンを接種するまでに、一定の間隔を空ける必要がありました。生ワクチンなら接種してから27日以上、不活化ワクチンなら接種してから6日以上の間隔を空けないと次のワクチンを接種することができませんでした。

この度、定期接種実施要領の改正に伴い、令和2年10月1日から、その制限が一部緩和されることになりました。今後は生ワクチンの注射間のみ接種してから27日以上空け、その他のワクチンについては制限がなくなりました。

ただし、あくまでも異なるワクチンを接種するときの接種間隔に限るため、同一ワクチンを複数回接種する際は、接種間隔の制限は従来通りとなります。

当院は地域のワクチン接種専門機関になれるよう、スタッフ全員が日々勉強しています。
VPD(Vaccine Preventable Diseases:ワクチンで防げる病気)は数多くあり、生後2ヶ月からワクチン接種が必要です。

接種希望や相談など、お気軽に当院へご連絡下さい。

『感謝と恩返し』

本日からインフルエンザ予防接種が始まりました。

先日、ある患者さんから質問を頂きました。「なぜ、くまのまえファミリークリニックではインフルエンザ予防接種の価格が安いのですか?輸入品とか使用していないか心配です。」当然の質問だと思いました。

当院では、インフルエンザ予防接種を希望される方が、手頃な料金で接種できるように価格を設定しています。経営的には、赤字にならないぎりぎりの価格です。
また、ワクチンは国から指定され、国内ほとんどの病院で採用されているものを使用しているため安心してください。接種した方にはワクチンに付属しているロット番号付きのシールをお渡ししています。
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当院では、来院して下さる患者さんへの感謝を忘れず、今後も"患者さん第一"に考えた医療を提供できるよう努力していきます。予防接種の低価格は、当院から患者さんへの恩返しと思っています。

多くの患者さんに接種していただけるようワクチンを確保していますが、混雑が予想されます。ご不便をおかけしますが、ご理解頂きますようお願いします。